遺留分によって遺言書が絶対ではなくなった

遺留分という制度ができた影響によって、遺言書の内容が全てというわけではなくなりました。遺言書が咲く際されたときには、その内容が本当に法律的に効果のあるものと確認された段階で、相続権の権利者に対して大きな影響を与えてしまいます。

しかし、相続権を保有している人は遺言書の他に法律的な庇護を受けている存在でもあるので、これを無視していては法律的な公平性を守れたと言えません。そこで、遺留分によって相続権者に最低限の遺産を相続させることによって、たとえ遺言書があったとしても不公平のないような結果になるようにしたわけです。

遺留分の概容と行使時の注意点

遺留分は、法的に遺産を取得できる権利とその割合を言います。これは被相続人が残した遺言の内容が、取得できる割合を超える(権利を侵害した)内容だった場合において、侵害された部分を請求する事でその分を取り戻すことができる制度です。

これは遺言によって遺産を取得できない相続人を保護する目的がありますが、一方で権利を侵害されてから1年以内に権利を行使しなければ遺言通りに遺産が処分されますので、相続人の意思が尊重される事になります。つまり、遺留分は遺言よりも優先される権利であるものの、被相続人にも配慮した制度と言えます。

遺言を残す際は遺留分も考えに入れて

相続するときに、遺言などがあればそれですべて片付くと考える方も多いことでしょう。確かにトラブルを減らす事はできるでしょうが、遺言の通りにならないこともあるので注意が必要です。それは、遺留分を侵害している場合です。

遺留分の権利がある相続人が減殺請求をすると、その分は遺言の通りにならないということになるのです。そのため、こうした決まりがあるという事を頭に入れながら遺言を残しておくことが必要です。誰に権利があるのかなど、わからないことがある場合は専門家に相談してアドバイスを受けてみるのがおすすめです。

遺留分の行使には期限がある

遺留分は、遺産を法的に取得できる最低限の割合とその権利を言いますが、その権利の行使には1年間という期限があります。この権利は被相続人の最後の意思表示である遺言よりも優先されますが、それを全て認めてしまうと被相続人の意思は全く尊重されない事になってしまいます。

そこで、遺言により遺留分を侵害された事を知った日から1年以内に権利を行使しない時は、時効により権利自体を喪失する事となっています。これにより、遺産を全く受け取れない可能性があった相続人を保護し、同時に被相続人の意思を尊重する事ができます。なお、他の相続人等が所持している遺産を、権利行使により返還を求める時効は異なりますので注意して下さい。

相続人の最低限の権利、遺留分について

遺留分は、一定の条件を満たす相続人が最低限相続できる財産のことをいい、民法第1028条に規定されています。これは、遺言状に書かれた遺言に全て従うと残された家族の生活が立ちいかなくなる虞があるため、最低限の財産を相続人ができるよう規定されたものです。

ただし、その権利は請求する必要があり、期間によっては時効となってしまうため、遺留分があるのではないかと思った場合は、早いうちに請求行為をしなくてはいけません。しかし、どうすればいいのか、具体的にはなかなかわからないため、弁護士や自治体の行う無料法律相談窓口に連絡し、アドバイスしてもらうことが必要です。

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